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コタロウ

時は、明治・・・

神奈川県の貧しい里山でひとりのあかごがうまれた。産婆は、小さな声で「男の子だよ」と・・・。母は、うなずく・・・産婆は「じゃ~いいね」と・・・母は、涙をためながらうなずく・・・しょうじ紙を水にぬらし、あかごの顔にあてる・・・あかごは、それを吹き返す・・・今度は、先程よりたくさんの水をふくませ、あかごの顔にあてる・・・またも、吹き返す・・・しょうじ紙をふたえにし、水をふくませてあかごの顔にのせようとしたときにあかごの兄にあたる少年が「やめて~お乳が出ないなら・・・お乳がないなら・・・僕が、さがしてくるから~」と、言い産婆にすがって泣いた・・・母は、起き上がりあかごを抱いた・・・それまでか細く泣いていたあかごが大きな声をあげた泣き出した・・・その子は、「コタロウ」と、名づけられ・・・兄が、日に何度も近所をまわって米のとぎ汁をもらい、重湯にしたててコタロウにのませた・・・コタロウは、ほどなく死んだその兄の分まで生きるように近所で有名なガキ大将になった・・・

コタロウは、学才に秀でていたが家の都合で進学ができないでいた。それを街の人がしり、憲兵学校をすすめてくれた・・・母は、「おまえまで」と、泣いたそうだが、コタロウは学びを続けるために軍人になる・・・

壮絶な人生の中で、最期の時を家で向かえるために住みなれた家の書斎で当時として珍しいベッドに横たわり、妻や娘家族そして、はじめての内孫らにかこまれて穏やかに過ごしていた

やがて、コタロウは薬を拒否した「お迎えがきてるのにあがくのはよくない」と、言い何をしても薬を飲まなかった

コタロウは、息子ミチヒロを呼んで言った「神様がお迎えに来てくださるのに、小汚い顔では申しわけないから髭をそってくれ」と・・・ミチヒロが髭を剃り終えると、紙とペンを所望した「1人でも泣くば  みな笑顔」と、記し期日と名をいれ、筆をおいた。ほどなく、その意識は永遠のものとなった・・・

葬儀にあわせて、コタロウの書いた最後の一言をミチヒロが額を手づくりしておさめた・・・そのあと、何度も良い額にかえる話があったそうだが、ミチヒロがガムテープのようなもので封をしたまま一度も開けられることなく、今・・・私の住まいにある・・・

コタロウは、私の祖父。ミチヒロは、私の父である。

祖父は、私のことをとても可愛がってくれた・・・従姉とは歳が離れていたので、軋轢もなく・・・私は、祖父を独り占めしていた・・・


あんな日に戻りたいなと思う今日この頃
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No title

素敵なお祖父様、素敵なご家族ですね^^

時代

今天皇の料理番というドラマを見ているのですが
時代背景をしみじみと感じられます。
心は豊かだったのではないかしら?
おじい様はやさしくて立派な方でしたね。

Re: koumeさんへ♪

祖父と父がいたから、私があると

Re: こむぎママさんへ♪

祖父は、優しい人でした。祖母を大事にし、泣かせる事せず、子にも孫にも最低限のマナー以外では一切の口出しをしない人でした

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Re: 鍵コメをくださった方へ♪

祖父の笑顔がまだそこにあるようなのです
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